話題の美容成分レチノールに発がん性?

レチノールってなに?

レチノールはビタミンAの一種です。人間の生殖機能・発達機能・視力や健康な肌を維持するのに重要な役割を担っています。
レバーやニンジンに多く含まれていて、ビタミンAの摂取量が不足すると健康への影響が出る重要な栄養素です。

同じビタミンAの仲間であるトレチノインは最も作用が強く、日本では医薬品として扱われます。一方、化粧品でよく配合されているパルミチン酸レチノールは主に皮膚内部にビタミンAを留めるレチノール誘導体です。医薬品成分であるトレチノインに比べて刺激性が少ないため、化粧品成分として認められています。

レチノールを使うとどうなる

レチノールには肌のターンオーバーを促進する作用があります。また、炎症を抑えるのでニキビ予防・改善、毛穴ケア、しみやシワの改善などが見込まれるとされていて、ここ数年、最強の美容成分として日本でもとても人気があります。

しかし、レチノールの肌刺激はかなり強め。
使用して数日経つと肌に赤みが出たり、ピリピリとした刺激を感じたり、炎症を起こすなどの反応(A反応)が出ることも。

純粋なレチノールに比べて刺激が弱いとされるパルミチン酸レチノールなどのレチノール誘導体でも、一時的に肌がかなり乾燥した状態になることもあり、肌が弱い人や敏感肌の人には肌への負担が大きすぎます

「慣れれば使い続けても大丈夫」と言っている人をよく見かけますが、肌が炎症を起こすほどの刺激は健康な肌の状態ではなく、決しておすすめできることではありません。

特に普段から肌の乾燥を感じている人は、すでに肌バリアが薄い状態になっています。そこにレチノールのような強い成分を塗布して無理やり肌のターンオーバーを早めてしまうと、さらなる乾燥を招く結果になってしまいます。

最強の美容成分に潜む心配

レチノールは肌刺激以外にも、深刻な健康への影響についても様々な議論がある成分です。

● がん
レチノールが紫外線を浴びることで、皮膚がんのリスクを高める可能性があります。
2012年8月にアメリカ国立衛生研究所の米国国家毒性プログラムが発表したレポートでは、トレチノインとパルミチン酸レチノールの光発がん性が調査されています。調査では、トレチノインかパルミチン酸レチノールが配合されたクリームをマウスに塗布し、人工の日光に当てると、腫瘍ができる確率が上がり、腫瘍ができるまでの時間も短くなったとされています。

調査で使われたマウスや人工日光が人間(または日本人)と条件が異なるとして、このレポートの内容は無効だとする人もいます。

しかし、レチノールの光発がん性について、100%安全だと確証を得られる調査もまだありません。

すでに知られていることだとは思いますが、レチノール配合の化粧品は夜に使用し、朝使う場合にはしっかりと日焼け止め対策をしましょう。

● 生殖機能と発達機能への毒性
アメリカのカリフォルニア環境保護局は、レチノールを発達毒性物質として「Proposition 65 List」に記載しています。
また、内服薬として処方されるイソトレチノイン(医薬品のビタミンAでレチノールの仲間)は、胎児の奇形性を引き起こす可能性があるため、妊婦は服用できません。

レチノールは経皮吸収されると言われています。
医薬品として処方されたものに比べて、ごく微量にしか配合されていない化粧品の場合、経皮吸収されたとしても心配する必要はないかもしれません。
それでも、妊娠中や授乳中にはビタミンAの外用薬やレチノールを避けるように指導する皮膚科医は多くいます。

多少のリスクがあっても試したくなるほど、レチノールには魅力的な美容効果があることはわかりますが、肌の状態を見ながら、一時的な使用やスペシャルケアとして時々使用する程度にとどめておくのが良さそうです。

長期的に毎日使用するのは、私たちとしてはおすすめできないと考えています。

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